団塊世代退職後の日本を予想


今年、来年でいわゆる「団塊の世代」が60歳になる。これによって起こることを微妙に予言してみる。
定年延長が義務化されたので、今年、来年に集中する度合いは緩和されたと思うが、2年に集中するインパクトが薄まっただけで、起きること自体は変わらないと思う。

貯蓄率が上がり、そして下がる

新聞等で貯蓄率が下がって、格差社会だからなんて良く書いてあるけど、これは今年から反転すると思う。団塊世代のサラリーマンが約200万人。一人2000万円として40兆円の退職金ということになる。日本の個人金融資産の合計が1500億として3%程度のインパクトがある数字だ。なかなかでかい。
この退職金によって一時的に貯蓄率は上がるだろう。この貯蓄率上昇を、新聞は景気回復の証拠とか書きそうだ。
もっとも、この人たちは今後貯蓄することはそんなにないだろうから、団塊退職のインパクトが収まると、高齢者は貯蓄を取り崩すだけだから、貯蓄率は今以上に下がり、マイナスになっていくだろう。その時新聞はそのときどんな理由をつけるだろう?色々書くのだろうが、その理由の大部分は上記の理由なのでだまされないで。

対外黒字が増え、そして減っていく

経済学的には「経常収支=貯蓄−投資」なので、投資を一定とした場合、退職インパクトで貯蓄が増加する間は経常収支は黒字に、その後貯蓄が低下する間は赤字になる。黒字の増加はいいとして、ついに赤字になったときには新聞とか大騒ぎしそうだ。企業の輸出競争力の低下で大変とか勘違いして書きそうな感じ。法人税下げの根拠に使われないといいんだが。

平均賃金が下がる、給与総額も

なんだかんだいって、サラリーマンは年取った人の給料の方が高いので、団塊の世代は給料が高い。この人たちが退職すれば、平均賃金は間違いなく下がる。今、新卒の求人数が増えているが、彼、彼女らが職に付けば、新入社員は給料が低いので、平均を更に押し下げる。
新聞は、企業は利益挙げているのに、労働者への分配が下がってるから問題だと書くだろうが、それはこの理由が大きく、賃金水準を引き下げたからではないと思う。
同じく給与総額も下がる。退職金消費が一段落したら、内需的には心配な要素ではあります。

所得格差が広がる

格差格差と色々かかれているが、これも同じ原因で大きく拡大する。200万世帯(5%弱の世帯だ)に退職金が入って家計調査などでは年収3000万になる世帯が増加するので、ジニ係数を出せばほぼ確実に格差拡大ということになるだろう。そして退職金が入った翌年には年金しか所得がなくなってしまうので、今度は年収250万だったりする。この両者が混在すれば、統計的に見る格差は非常に大きくなる。こういう原因でも新聞は格差社会だ問題だって書くと思うが、割り引いて考えてください。

年収も資産も双方で格差が広がると思うけど、これら退職者は年収では弱者だが、資産では強者なので、あまりケアする必要もなく、逆に資産に対して懲罰的な課税をする必要もない。

一部の業種は景気が良くなる

定率減税で3兆円の増税になり景気は大丈夫か?なんて話されているけど、40兆円の退職金がどの程度消費に回るかはわからないけど、あるていど埋め合わせてくれ、もしかするとおつりが出て、消費を支えてくれるのではないかと思っている。
各種調査によると退職金の使い道予定は1位貯蓄なのだが、「旅行」、「家のリフォーム」、「大型家電」、「車」なんてのが上がっている。全体の消費がいまいちだったとしても、これら業種の調子はたぶんよくなるだろう。旅行関連では、旅行代理店とかもあるけど油の値段も下がったし、空運とかこれから良くなるかも?あとはリフォーム関連で住設関連、建材メーカー、リフォームに伴う白物、平面テレビ需要で家電小売なんか。シャープみたく輸出比率が低く大型家電に強いメーカーなんてのもいいかもしれない。

東京近郊自治体の税収が減る

団塊世代は、高度経済成長期に関東に来た人が多く、そのころニュータウンとして開発された地域に多く住んでいる。
雰囲気的には関東では国道16号線沿線の近郊地域が多い。その地域は工場等があるところもあるが、あまり産業もないニュータウンのみの地域もあり、住民税が主力のそういうところの税収は下がるだろう。
代表的なのは多摩ニュータウンだが、これからはシニアタウンだ。大丈夫かなぁ?


素人の占い当たるかな?