フリーターとファイナンスとベンチャー

昔テレビを見ていてちょっとだけ面白いことがあった。ニュースで「与党が出資法の上限金利見直しに伴って検討していた、小額融資に限って金利上乗せを認める特例を撤回の方向」というニュースだった。で、その直後のニュースが、今途上国で流行のマイクロファイナンスの元祖、バングラデシュグラミン銀行の「ムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞受賞」だった。

グラミン銀行Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%8A%80%E8%A1%8C

サラ金グラミン銀行のビジネスは実はあまり変わらない。無担保小額融資で、金利が20%台(インフレ率は異なるが)、更にどちらもけっこう儲けているという共通点もある。更に言えば、サラ金は保証人不要だが、グラミン銀行は、顧客同士で5人のグループを作らせ、返済の責任をそのグループに負わすらしい。見方によればグループで債務保証させる分、本人は沈めて保証人からの回収を基本とする商工ローン業者的であり、サラ金以上にあこぎな商売だともいえる(サラ金は債務者が破産したらもう回収不能)。
しかし、サラ金商工ローン業者は世の中的にかなりひんしゅくを買い、一方のグラミン銀行ノーベル平和賞だ。この差はなんだろう?


グラミン銀行って基本は事業に対する融資で、奥さんたちのグループがそのカネでミシンを買って服かなんか縫ってそれを売って融資を返済し、グラミン銀行の職員は事業計画や事業の状況をチェックしてアドバイスしたりとかするらしい。サラ金商工ローン業者の差は「事業計画を吟味して融資する」「事業に対してアドバイスを行う」位か。

銀行は事業内容も見るが基本的には担保主義なので、無担保で事業をサポートする融資ってほとんど存在しないなぁ。出資ベースのベンチャーキャピタルは似ているが、上場かいい値で売却が狙える商売じゃないと相手しないだろうし。


バングラデシュと違って、日本ではどんな商売もチェーンオペレーションされた大企業と戦わざるを得ないし、事業を起こすのは厳しい面もあるのだろうが、グラミン銀行みたいなところがあれば、フリーター対策に使えるのではないだろうか?

例えば、引越し屋のバイト君5人が、「俺たちで引越し屋やらない?」みたいなノリで集まった時に相談できるような金融機関。金融機関の担当者は、トラックを買うとか、事務所を借りるとか言っている彼らに、「トラックはアドホックに借りろ」「事務所なんていらねぇ、誰かの家に電話引いて、お母さんにも受付手伝ってもらえ」「会社登記も自分でやれ」みたいなアドバイスをして、リスティングや比較サイトの広告費だけ融資し、開業後も色々な相談に乗り、軌道に乗ってきたらもっと融資する。その代わり相当高利で、メンバー全員もしかしたら親にもに債務保証させる。みたいな感じ。


その金融機関の担当者にはある程度の能力がいると思うので、それなりの給料はいると思うのだが、そこに、団塊世代定年退職者を使って安く上げるわけ。調達も債権を証券化して、団塊世代の退職金が入った連中に債券を売るわけ。SRI債券みたいな感じ社会貢献風味で売るというのででどうだろう?