ゾンビ企業に引導を渡そう

僕は周りを山に囲まれた人口数万人の古く小さな町に住んでいる。地面が広くないから町は自動的にコンパクト、商業エリアは歩いて一周できる程度の規模だ。歩いて買い物するには便利なのかもしれないが、道が細く駐車が難しいため、車で買い物に行くのは便利とは言えない。
で、この町の商業エリアなのだが、かなり魅力に欠けるのだ。


この町の商業地区は、基本的に小割りの土地に小さな店が並んで商店街を構成しています。スーパーやドラッグストアを別とすればお店の構成は大雑把にこんな感じ


70% 古い町なので、基本シニアの店主が昔ながらの商売をしている。
10% 若い店主が、趣味の延長っぽい商売をしている。
20% 学習塾、ファーストフード、外食チェーンなどどこにでもある店。


この分類だと?の店がやはりよろしくない。飲食店や生鮮食品はまあまあのお店も中にはあるんですが、基本昭和のままの商売をそのまま続けているだけの店がほとんどです。町の外にある大型量販店とはどうやっても戦いようがない店ばかり。土地がなく大型店が進出できないこの町だからこそなんとか生き延びているだけの店たちだ。ヤマダ電機ニトリとの値段の差は言うまでもないし、日のあたるところにワインを陳列するのはやめてほしいし、バタークリームのケーキはもう止めたほうが……この町もうちょっとなんとかならないものだろうか。


平日の昼間は多少客が来ているのかもしれないけど、少なくとも僕が見ることのできる休日はどの店もほとんどお客さんを見かけません。これらの店をゾンビ店と名づけて見ます
これらゾンビ店がなぜ続いているのかを想像すると、


・ 土地、建物が自前であり家賃が要らない。
・ 店も昭和から全く改装していないので、返さなければいけない借金もない。
・ 店主もシニアで年金が出ているので、お客さんが来なくても食うには困らない。


そんなことで空けているコストが低いため、儲からなくても店が続き、淘汰が起こらないため土地や店舗が低生産性の店に拘束されたままになっていて、商業地の魅力が上がらないということが起きていそう。
多分店主が病気でもして店をやれなくなると、やっと貸し店舗となり?や?のお店が開業して、多少いいお店が増えるといったところなんだろう。病気になって欲しいとは思わないが、このパターンがもっともっと増えていい店が増えることを住人としては願いたい。
その前に、やる気ないなら店を貸して、家賃で暮らせばいいのにとも思うんですが。その方が楽で収入も多いのでは。


スケールはちょっと違うけど、地方都市の駅前商店街が死ぬのも、昭和の人が昭和のままに続けている商業集積は、平成の人には魅力がないというだけのことだと思わないでもない。僕の町と違って、山が量販店から守ってくれないからイオンモールの直撃度も高いのだろう。
流行らない店が消え、そこに新しい店が生まれる淘汰があれば、駅前の商業地だってまだ戦えるのではないかと思う。


そのためには、流行らない店を維持するコストを上げ、淘汰を促進するために、収支に関わらず店舗面積に応じて課税される外形標準課税的なものを店舗に導入するとか、店舗の貸し出しを促進するために、貸す側、借りる側に税制優遇したりするといいように思える。流行らない店が流行る店に置き換われば、税収も増え、町が魅力的になれば地価も上がり固定資産税が増えて元が取れそうな気もするし。



日本経済も、低金利や政府支援でソンビ企業が生き残り、淘汰されないがゆえに人材や生産設備が低生産性のまま拘束されている。僕の町の商店と同じだ。

そう考えると資金を締め上げてゾンビ企業を倒し、そこに拘束されている人材や設備を、よりやる気のある会社に持っていくようにしたほうがやはりいいのではと思ってしまいました。

その過程で一時的に失業が増えるのは避けられないのですが、突っ込むつもりだったどうせ毀損してしまう資本をセフティネットに回せばそれで良くないか。

倒した企業が持っていたマーケットはよりすぐれた企業たちに解放され、成長余地となるし、倒した企業の人材はよりすぐれた企業のもとでより多い価値を生めるはず。


もう詰んでいそうなパイオニアルネサスにお金を突っ込むくらいなら、もっといい使い道がありそうな気がする。