実は日本に誇りを持っています


日本の歴史を卑下する必要は全くなくって、僕はむしろ世界のほかの国と比べて誇らしい国であると思うし、多くの人もそう思っているのではないかと思うんだがどうだろう?

なにが世界に誇れることかという基準を考えると、日本のものが、他国のものに比べて相対的に優れているということだろう。その基準は「数値で表されるものが国際比較の上でよい」「数値で表されないものであれば、世界中で評価されている」と言ったところか?
主観的な「オレはいいと思う、ていうか好きだ」という基準は比較できないため、世界に日本を誇ると言う目的には適さない。こういうところで誇りを持っても、あんまり理解されないだろう。

やっぱりまず経済?

最近はあんまり伸びていないけど、実勢為替レートベースのGDP(国が作り出した付加価値の総額、経済活動の成果の規模みたいなこと)でそれでもアメリカに続いて2位、アメリカの4割弱の経済規模です。国の数って世界中で200位ですか?上位1%に入るのであればこれは間違いなく誇れることだと思います。一人当たりで見ても人口の少ない小さな国に抜かれますが、それでも15位にはいるので上位1割には余裕で入り、こちらでは8位にはいるアメリカとの差も1割程度なので基本的に豊かな国、こちらも当然誇れるところでしょう。

戦前と比べると、このころはあまり統計がないので推計値に過ぎませんが1935年時点で、GDPでアメリカの2割弱、一人当たりGDPでアメリカの1/3強といったところでしょうか。そのころはヨーロッパが今より経済強かったので、西欧諸国にも当然及ばず中進国といったところでしょうか。

そして、もっとすごいのは戦後の焼け野原から1970年くらいまでの急速な復興、成長加減でしょう。60,70年代の韓国も最近の中国もなかなかの比率で伸びていますが、絶対値としての伸張は日本の高度経済成長期にはかないません。

経済成長を望まない国はなく、全ての国が望んでいる経済のジャンルで大成功したことは、どう考えても一番に誇るべきところだと思います。

産業というか企業

経済とニアですが、世界で受けている企業が日本にたくさんあるというのも日本を誇れる要素ですね。大産業である自動車で、トヨタ、ホンダなど日本企業が活躍していること。成長中のITのジャンルでも、アドバンテスト東京エレクトロンなど欠かせない企業がたくさんあるところ。家電の松下なんかもなかなか立派だと思います。また各種の高付加価値素材や工作機械など日本企業がリードしている産業分野はたくさんあります。
戦前にそんな会社がありましたか?一つもなかったですね。

文化もなかなか

日本が誇るべきは経済だけではありません。アートを始めとした文化でも意外と世界で評価されてたりします。
幕末〜明治初期にジャポニズムという日本文化ブームがヨーロッパで起きたそうです。当時受けた作家として、北斎、広重、歌麿などがあります。ゴッホゴーギャンに大きな影響を与えた話は有名ですね。たしかにユニークだしパワフルなので受ける要素は十分です。このときに雪舟のようなファインアートでなく、浮世絵のような大衆芸術があちらではファインアートとして一番受けたというのがなんか微妙に気持ちいい話だったりもします。
その後長らく日本の文化が世界で大きくウケることはなかったと思いますが、ジャポニズムから100年を経て世界中でウケる物が日本から出てきました。まず”karaoke””Nintendo”、それに続く”manga””otaku”です。今の日本は十分世界中に文化、芸術を輸出している国だといえるでしょう。コレも誇れることだと思っています。
これも戦前にそんなものがありましたかね?


他にもワールドベースボールクラッシックで初代金メダルとか、比較的省エネ文化で公害対策もすすみエコな暮らしをしているとか、ODAをたくさんしていたり、国連にたくさんカネだしていたりとか誇らしいことは色々あります。


などなど、この日本には世界に誇れることは色々ありますが、ほとんどは前後のことではないかと思います。戦前期にはアジア内では相対的に進んだ国だったとは思いますが、世界に誇れるようなものはほとんど何も持ってなかった時代と言っていいでしょう。


別に日本の歴史に誇りを持ってもいいと思いますが、戦前期は客観的に見て日本の歴史の中でもいけてない時代だと思います。民主主義でもなく、人権も軽視され、異常な軍備増強で国民の暮らしを苦しくし、国際社会の中で孤立していた当時の日本は、今で言えば北朝鮮+イスラム国家神道原理主義みたいな存在としか思えません。北朝鮮が今後どうなるかわかりませんが、当時の日本はそのまま勝ち目のない戦争を勝ち目のないやり方で仕掛けて、たくさん日本人が死んで、GDPが半分になりました。そういう結果になったことには当然理由があり、戦前の社会システムはあまりいいものではなかったと言えるでしょう。もし、それがいいものだったら、もっといい結果を生んでたのではないでしょうか?それがいいものでなければ世界に誇るものではないでしょう。また、戦後の成功も、戦前をものすごく反省したからこそできたことのような気がします。

また、明治期には脱亜入欧なんて言葉がありましたが、自国の文化を否定し、西欧文化を輸入し、キリスト教的価値観も輸入したうえで輸入し切れていない近隣国を蔑視するというのもなんか情けない時代です。


ちなみに戦前の下層社会にことがか書かれている本があります。amazon:東京の下層社会という本ですが、戦前の下層社会に比べれば今のワーキングプア格差社会だなんてぜんぜん百倍マシです。もともと中進国で、お金持ちではないのに税収の半分が軍に使われていたので、フローも、社会ストックも良くなりようがなく国民の生活は当然最低です。


どうせ誇りを持つなら戦後の日本にしませんか?そのほうが世界中にも理解されやすいでしょう。
最高とも思いませんが、それでも今の日本そんなに悪くないと思いますよ。
自虐史観という人は、戦後の歴史に対して逆に自虐的かなと思えますし、歴史修正主義という人も、戦後の歴史が生んだものはそのままに評価すべきではないかと思います。