3文小説的妄想

金正日になにかあったとする。身体に悪そうなおいしいもの色々食べてそうだし、そう先ではないかもしれない。後継者はだれかが指名されるとしても、若いうちから天才だと報じられ続けた正日と違い、神格化に使える時間は短く、指導者と軍部との関係も今より微妙な感じになるのではないか(北では国民の支持とかはあまり関係なさそうだ)。もちろん、北朝鮮が経済的に発展することはなく、食うや食わずの状態が続くだろう、そうするとどうなるだろうか?
指導者と軍部は微妙なバランスをとりつづけ、そのまま行くという可能性もなくはないのだが、このバランスが崩れるときがあるかもしれない。例えば、指導者と対立した軍部が粛清にあった時とか。そのとき、どちらの側も韓国に協力を得て統一されるのを望むとはいまいち思えず、韓国もある程度帰趨が読めれば別だろうが、バランスが崩れかけた時点では読み違うと統一が遠くなるためこの両者のうち一方に肩入れできるとは思えない。
この場合、キャスティングボードを握るのは中国になる、中国を味方につけた勢力がこのバランス上優位に立ち、その中国に支援された勢力が北を支配するということになる。属国化だ。
で、中国が北朝鮮に肩入れしたとしよう、当然、中国は韓国(中国と韓国は仲が悪い)優位の統一を望むわけがなく、中国の支援があれば半島の軍事的バランスは北優位に傾くため、北の勢力は半島の軍事統一を考えるかもしれない。中国としても、北がやることであれば直接国際社会の批判を浴びる筋合いではないし、韓国の経済力が属国となった北の手に入るのであれば悪い話ではない。中国圏合計のGDPが3割UPするからね。

で、仮に北が軍事統一の動きに出たとしてどうなるかだが、結局アメリカがどこまでやるか次第だと思うけど、朝鮮戦争の時も、中国が介入する前はほとんど中国国境近くまで攻め込んだ米韓連合軍は、中国介入後は38度線まで押し戻されている。そして今の中国は当時の中国の軍事力とは比較にならないほど強力だ。第一、兵隊の数は北朝鮮の方が韓国より断然多いし、北には朝鮮戦争の教訓が生きているので制空権がない前提の軍隊ができている。もしはじめればソウルは確実に、下手すると釜山までやられて統一ということもないのではないか?核はまだテポドンには積めないくらいの大きさだという話しだし、飛行機はすぐ落とされるので核戦争は大丈夫だと思うけど。

今後イラク、そしてイランがどうなるかは知らないけど、この帰趨によって米国内の厭戦気分が高まれば、軍需産業は韓国に武器が売れればそれで十分美味しいし、石油も出ない朝鮮半島にはアメリカはマジでは来ないという読みを中国なり、北なりがして、はじめちゃう可能性があるのではないか?アメリカがガチンコでこなければ、北朝鮮による半島統一がなされる可能性は十分に思える。

そうすると、対馬の向こうが北朝鮮であり、グレーターチャイナという状態ができてしまう。中国式自由経済/共産党独裁の国が誕生し、グレーターチャイナのパワーは3割UPだ。その軍事パワーが、日本まで船で2時間くらいのところに存在する状態ってどうです。

そう考えると、韓国は韓国で、反米とか言っている場合ではないし、北を支援して軍事備蓄のお手伝いをしている場合ではないし、中国にあんまり文句言っている場合ではないと思う。
日本も嫌韓とか反米とか言っている場合ではないように思える。韓国は日本にとって大事な独裁の防波堤で、アメリカは唯一中国を凌ぐパワーを持つ国だから。それにあんまり中国を挑発してそのうちお隣さんになるかもしれない大国との関係を悪くしておくべきではないと思う。

民族主義は判断を停止させてしまうからねぇ、日本も、韓国も米国や中国ほどのパワーがない以上、パワーのバランスの中で損得を考えて立ち回っていかないと、みんなの利益というか幸福を損ねかねないと思うので、やっぱりナショナリズムには反対と僕は思います。食べられない民族の誇りより、実のほうが大事じゃない?